吉田萩苑造『萩茶碗』（共箱）

たっぷりと萩釉がかかり見る角度によって様々な景色があり、また作行は豪放で師の休雪に似た力強さがある秀作です。早世のため制作期間はわずか15年と短いため貴重な作品といえると思います。
内側には荒々しく貫入が入り、茶渋が染み込んでできた景色も楽しめます。いわゆる「萩の七化け」と呼ばれるもので、それも含めてお楽しみいただけたらと思います。＊見込み周辺に経年に渡ってできた茶渋の景色(写真⑦)もございます。私は漂白剤は使いたくないのでそのままで使っておりましたが、気になる方は漂白剤等をお使いになられたらよいと思います。
口辺にあるキズ(写真⑧)のようなものは、キズではなく萩焼によくみられる焼成時に砂と釉薬が飛んだような痕跡ですのでご安心くださいませ。
共箱は箱脇に「萩茶碗　玉峰山　吉田萩苑造」として印が捺してあります。高台脇に作者印(写真②)が捺してあります。

キズ、直しございません。

共箱。栞付属。

胴径11.6㎝　口径10㎝　高さ7.9㎝

▢吉田萩苑（よしだしゅうえん）
昭和15年(1940)～昭和58年(1983)
陶工。萩市生まれ。15歳の折、萩焼の名門三輪休雪に入門し、10代休雪（人間国宝三輪休和）に師事する。後、天鵬山窯の発足にあたり招かれて技術指導に尽力す。昭和43年独立し、萩市玉江に玉隆山窯を開窯するが、昭和58年不慮の事故により永眠する。

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